医師6年目で外資系製薬企業への転職を検討した当時の心境と転職エージェントのセールストーク

市中病院の若手総合内科医が製薬企業への転職を考えた理由

医師3年目。僕は米軍病院勤務中に米国医師免許を取得した。僕はそこで満足してしまい、アメリカ行きを取りやめた。

意気揚々と古巣の湘南鎌倉総合病院に戻り、内科後期研修医になった。これは初期研修医とは違って、自分の裁量が増え、影響力も大きくなった。とても面白く、やりがいに満ちていた。言われたことをこなすばかりの初期研修医とは違って、自分自身で数多くの方針を立て治療を進めることができた。待遇も良かったし、ワークライフバランスも初期研修医の頃と比較するとだいぶ良くなった。それでも、アメリカへの留学という明確な目標を失った僕は、どこと無くぼんやりと過ごしていた。

医師としてのキャリアでは、研修医から何かしらの専門医となるのが主流だ。医学部に入ったら、医師になるために6年間は大学生。その後は2年間研修医、その後は各専門科研修。Academiaで助教授、講師、准教授と上り詰めれば教授、市中病院で医長、部長と登るなら病院長。はたまた開業。

待遇に関しては、開業しない限りは、年功序列と役職により決まる基本給に加え、高額な時間外労働が医師の給与の多くの割合を占める。30台前後の医師というのは、体力的に無理がきくし、現場での臨床能力もある程度高まるので、ある意味稼ぎどころと言えるのかもしれない。

医師5年間で一旦キャリアに切れ目ができる。僕も医師6年目になったが、何かやってみたいと思った。でも何をすれば良いのか?好きなことや、やりたいことに打ち込めばいい。それはわかっている。しかしながら、20数年も生きてきた自分ではあるが、どれだけ考えても具体的にやりたいことがなかった。こうありたいという状態は説明できるのだが、実際に仕事としてやりたいことが思いつかない。それでもなにかを変えてみたい。

明確なビジョンがないと言っても、あまりにも今の仕事と距離感があるのも困るとも思った。そこで以前から気になっていた、製薬企業への転職を検討することとした。

 

製薬企業への転職について、エージェントから知りえた情報

ところで皆様は、Linkedinに登録された経験はあるだろうか。Linkedinというのは、転職やビジネス用に用いられる英語SNSである。医師がLinkedinに登録してプロフィールを適当に埋めるろ、リクルーターの方からガンガン連絡が来るので驚く。リクルートとかビズリーチみたいな、名前を耳にしたことがある大会社から、謎の外資リクルーターからの英語の連絡も含め、数多く来る。

当時、地方の病院に転勤していて極めて暇だった僕は、そのようなリクルーターの方と連絡を取りまくった。何人かと話してみてわかったのだが、製薬企業への転職は、基本的に売り手市場であるということだった。

条件としては、ある程度英語ができることと、臨床経験が数年はあることが共通して求められていた。それでも例外は存在し、医師4年目で就職したり、英語もほとんどしゃべれない状態で就職する人もいるようだった。製薬企業で働く医師は、全国で300-400人ぐらいらしい。

給与は、前職(医者時代の)給与(基本+時間外)を勘案して決められるそうで、ほぼ同額~少し上がるぐらいが多いらしい。若手で製薬企業未経験であれば、1000-1500万円あたりが相場のようだった。製薬企業であれば、土日祝日は基本的に休みであり、当然ながら当直もないので、労働時間あたりの給与(時給)は上がることになる。

製薬企業どころサラリーマン自体をまったく未経験、という状態でもウェルカムな会社がほとんどとのことだった。

ちなみに上の内容は転職エージェントの営業トークであったことが後ほど判明する。ただ、アメリカなどでは製薬企業も医師のキャリアパスとして結構人気な選択肢らしい。

こうして僕は真剣に製薬企業への転職活動に取り組んでいくことになる。